観光客対応とおもてなし
おもてなし!
この言葉が流行ってだいぶ時間が過ぎたように思えますが、おもてなしの意味履き違えてる人多くないですか?
最近は外国からの観光客が増え、その影響で今まで問題にならなかった事が色々出てきてますね。例えば、入れ墨ですね。
日本では入れ墨は良くないイメージですが、外国ではカジュアルに入れている人もいるみたいです。入れ墨の歴史についてここでは触れませんが、この議論になると、「観光客対応として入れ墨も受け入れなければならない」といった様な論調が出てきますよね。
これは「おもてなし」の意味を履き違えてるから出てくる発想だと思うんです。「おもてなし」というのは、訪れた人の世話をしたりもてなしたりすることで、好き勝手にさせる訳ではないんですね。また、見返りを求めない主体的な行為でもある訳です。つまり、その家の中でのお世話であったり、もてなしであったりするわけで、その家のルールを超えたものではないんです。
これに乗っ取って考えると、この入れ墨とは日本では「悪」と捉えられているため、外国人がそれに合わせるべきなんです。
まぁこんな理論だてて考えなくても、日本を訪問する外国人に対して、何でも外国人に合わせて考える事自体がおかしいんですがね。
だって、日本人が海外旅行に行くと、その国のマナーや風習に合わせるじゃないですか?イスラム教の国に行って、日本と違うからと言ってスカーフを被らずにモスクに入ったりしませんよね。チップもそうですね。日本では払わなくても良いけど、アメリカに言ったら当然払いますよね。日本ではこんなのない!おかしい!といって払わない例は聞いたこともありません。
しかし、それが自分たちの国に入ってくる外国人に対してだと変わってしまうんですね。なぜ自分たちが外国に行った時には、その国の風習に「合わす」のに、こちらがホストになると「合わさせない」のでしょうか。
それでは、「おもてなし」とは何なのでしょうか。
観光業は日本にとって重要な収入源の1つですから、「これは日本の風習だから」と強固な主張をするのも戦略的ではありません。しかし、外国人の好き勝手にやらせるのも違いますよね。そもそも、外国に合わせていたら、「日本への理解」が深まりません。外国人からしたら「なぜ自分の国では入れ墨はOKなのに日本ではNG何だろう」と思わせる事が、日本への理解を深める第一歩なはずです。
本当のおもてなしとは、こういった日本の風習を「伝える事」です。風呂に、「入らせる」か「入らせない」かではなく、まずはこの風習を伝える。1か0かではなく、その間に答えはあるはずです。
次に戦略的に考えてみましょう。今まで述べてきたように、日本の風習を伝える事は出来ました。しかしそれでは、「入れ墨の外国人は温泉に入りづらい」という状況は改善しません。
そこで次にやるべきことは、それぞれの温泉のスタンスを明らかにする事です。これも「おもてなし」なはずです。観光客を相手にしている温泉地では、入れ墨の客を入れるのも良いでしょう。逆に、ひっそりとやっている温泉地なんかでは、はっきり「ダメ」だという事を表しましょう。外国人に対し、「俺は入れる・入れない」ということを教えてあげる事も大事なのです。
今回は入れ墨にフォーカスして書きましたが、風習に関しては入れ墨だけではなく様々な問題があると思います。しかしどれをとっても、外国人は日本に「合わす側」なんです。そして「おもてなし」とは、「いかに合わせやすくするか」というだと思います。